ウェブゴルフコラム
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ウェブゴルフコラム 第六回 (03,03,17)

「思いはそれぞれの女子ツアー開幕戦」

3月7日、いつもの年にくらべやや肌寒い沖縄で、国内女子プロゴルフツアーの戦いが幕を開けた。今年で16回目を迎えた『ダイキン・オーキッド・レディー ス』は、開幕戦としてすっかり定着した大会だが、直後に1か月のインターバルがあるため、シードプロのあいだでは“小手調べ”の感も強い。

新しく取り入れたギアはフィットしているか。オフの練習で身につけた技術は試合で使えるか。また、久々の実戦ということで、試合勘を取り戻すことも目的になる。
昨年、史上3人目となる3年連続賞金女王に輝いた不動裕理もその一人だった。ドライバーのシャフトを硬くし、スイングもフォローを大きくとるフォームにマ イナーチェンジ。「開幕戦だから、悪くてもいいやという気持ちもあった」という。だが最終日、首にレイをかけて笑ったのは、やはり不動だった。

彼女の強さの理由。それはどんな状況でも変わらないリズムにあるだろう。雨が降っても、風が吹いてもゆったりとしたスイングは常に同じ。中野晶と のプレーオフ4ホール目、ティーショット、2打目ともにミスし、ピンまではまだ170ヤードも残っていた。中野は100ヤード先にいる。そんなピンチにも 動じることなく、不動は右からの横風に負けない強い球でピン左3メートルに見事オン。そのバーディーパットもきっちり沈め、ここぞという場面での勝負強さ を見せつけた。
 「アプローチや風の読みがまだまだ」という状態でいきなり優勝してしまうのだから、今年も不動が賞金女王の大本命であることはたしかだろう。

一方で、この大会に勝負を賭けた選手もいる。昨年、シード権を失った東尾理子だ。年末のファイナルQTでも失敗(68位)したため、今季は主催者推薦枠の 8試合にしか出場できない。そのうちの大事な1試合で、初日、首位タイでスタートすると、最終日も崩れそうになるのを何とかこらえ、7位タイに食い込ん だ。
沖縄でも多くのギャラリーを引き連れたことでもわかるように、“客を呼べる”数少ないプロである彼女の存在は貴重だ。彼女にはシード権奪回にとどまらず、ぜひ初優勝を飾って毎試合出場してもらいたいと思うのは、多くのファンに共通した願いだろう。

不動を追いかける面々の仕上がりも順調のようだ。一昨年に苦しんだ内臓疾患から完全復活を目指す中野晶は、たしかな自信をつかんだようだ。
46歳のベテラン・具玉姫は、2日目にツアー新記録の11バーディー、10アンダーを記録して3位。昨年、賞金女王争いで不動をあと一歩のところまで追い 込んだ藤井かすみは、今年も不動を苦しめる存在になりそうだ。さらに、ツアー初優勝と2勝目を挙げて昨年の新人賞に輝いた高橋美保子や服部道子、小林浩 美、肥後かおりといった実力者たちもベストテンに名を連ねた。

今年の女子ツアーは、昨年と同じ全31試合が予定されている。これは男子に比べると2試合多い。不況が続くなかでトーナメントが減らないのは、スポン サー、ひいてはファンの期待の大きさの表われだろう。女子プロたちが再び結集するのは、桜の便りが届く4月第1週。LPGAの樋口久子会長が掲げる今年の テーマ、「より華やかに、より熱く」という戦いに期待したい。


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